ここは浅瀬です。

主にうわ言を述べる人のうわ言用ブログ

繭と血(TRUMPのたわごと)

繭期は何故「繭」なのか、が気になっていたんです。
日常生活で繭ってなかなか聞かなくない?そうでもない?地元がかつて一大養蚕エリアだったので私はとても馴染みはあるんですが日本全体としてはどうなんだろう。

繭期って主軸では語られないながらかなりメイン設定なのにあんまり詳細分からないなあというのも合わせて訥々と考えていたので備忘録的に。

当然のことながらこうだったら面白いかなあ程度の妄想ですのでどうか話半分にひとつ…。


繭の中の蛹の中で

ーー繭(まゆ)は、活動が停止または鈍い活動状態にある動物を包み込んで保護する覆いをいう。(Wikipediaより)

成長期=繭期とした時にうん?と最初に思ったのはその中には蛹があるはずだよなあということでした。先に述べたように蚕に割と馴染みがあったので。
調べてみたら案外いろんな生き物が繭を作るので必ずしも中に蛹が、というわけではなかったんだけど!
ただ末満さんがTRUMPシリーズに上げていたタイトル「COCCON」の和訳が「蚕などの繭、蜘蛛の卵嚢」だったのでここにおける繭は蚕の繭的なものだという仮定で進めます。

繭期は人間でいう思春期だと説明されています。
思春期の特徴は第二次性徴期の現れ、生殖が可能になる段階。
翻って昆虫は蛹化し変態して成虫になることで生殖が可能になるのでここは並びうるんだなあと。言葉だけ見てるとちょっと不思議な気がしますが。

昆虫の成虫化には2パターンあって幼虫がそのまま脱皮を繰り返して大きくなる「不完全変態」と蛹の中で一回体の構造が全部崩れて全く違うものになる「完全変態」があるんですけども、ヴァンプの成長過程を繭の中の蛹とすると彼等は完全変態する生き物であってじゃあ不完全変態は、と思ったらそれが人間なのではないかと。

ダンピールが大人になれない(繭期を越せない)のは、完全変態と不完全変態の部分がどちらもあるとすれば自然なんですよね。人間としてもヴァンプとしてもその成長過程に不具合が出る。
完全/不完全ハイブリッドってセミと蝶の混血みたいなものになるんですが(比喩が雑)、そんなのどうやって成虫になったらいいのか…。

ところでLILIUMのマリーゴールドは繭期の兆候が現れるまで人間の里で暮らしているんですよね。
でもヴァンプの食事は血を主とする訳で(SPECTERパンフレットより)、じゃあマリーゴールドはそれまで食事をどうしていたのか。養護院もあるだろうし彼女の母親も積極的にマリーゴールドを育てたかった訳では(少なくとも途中からは)なかったので、生きていくのに不便ならば人間の里にいる必要がないと思うのです。
三食家畜を殺して血を飲む生活は流石に無理がある。

ではマリーゴールドはそれまで人間の食事で生きていられたのではないのだろうか。

ヴァンプに繭期の兆候が現れるとき彼等は初めて吸血種になるのでは?

蛹の中で一度どろどろの液体に崩れて、それが全く違う構造の生き物に変わる。繭の内側で起こっているのはそれであって、ヴァンプはその繭の中で吸血種になってゆくのではないかと思いました。吸血種として覚醒する過程でまだ血の渇望が制御できないからひとところに閉じ込めて管理する。
ダンピールはこの「完全変態」が訪れるかどうか分からないから、兆候が現れなければ人間の中で暮らす道があるのかもしれません。

TRUMPの発生

TRUMPが人間の間に生まれた突然変異種、という恐ろしい話が今回パンフレットで出てきました。
人間を祖とする母集団に突然発生した不老不死の吸血種。言ってしまえば彼は人類の亜種です。

今回TRUMPを観劇していて漠然とした印象を受けたのは「クラウスは元々人間なのではないか」ということでした。
つまるところ先天的突然変異種ではなく後天的である、という感覚。

因果と業が輪廻するTRUMPシリーズの構造においてクラウスは死せる運命の者だったソフィを不老不死にし、ソフィはリリーを不老不死にしてしまう。
その因果が変形せずにダイレクトに繰り返されるのであれば彼もまた「不老不死になってしまった」ものなのではないか、と思ったのです。

クラウスは彼をそうした者について「神」と言っていました。ソフィやリリーのように直接呪うべきものは、だから彼にはいないのかもしれない。
それこそ神の気まぐれで不老不死に変えられた怪物、くらいの立ち位置だっていい。

その突然変異種から全てのヴァンプは生まれています。



一回まとめますね。

仮定① 繭期は単語の元来の意味から蛹化のニュアンスを有する
仮定② 蛹化によって蛹化した個体は「完全変態」する
仮定③ ヴァンプは血を食事として生きるが幼少期はそうでない個体の存在が確認されている
→「ヴァンプは繭期を迎えると吸血種として覚醒する」
「始祖TRUMPがソフィ/リリーについて因果の繰り返し構造を有する、つまり後天的不老不死化のエピソードを持つのではないか」


繭期の終わりと永遠の繭期

LILIUMで出現してTRUMPにリダイレクトされた「永遠の繭期」という言葉の始まりについて友人とつらつらくだをまいていたあたりでこの話をしていたのですけれども、それはTRUMPから始まった慣用句なのではないかという辺りに落ち着きをやや見せました。
つまるところクラウスの3000年とは永遠の繭期。

繭期が終わるとヴァンプは安定期を迎えるということですがクラウスの挙動はまあ大概安定からは程遠い。クラウス―ソフィ―リリーの構造が相似になるのであればクラウスは二人と同じく繭期のヴァンプであるのが妥当でもあります。

クラウスは不変の繭期。
かつていた不死のヴァンプもクラウスが自分に似せて作ったのであればそれに等しいものだったでしょう。

ヴァンプが不死を失ったとき初めて彼等は繭から出ることを覚えたのではないかと思います。
安定期になることが思春期/蛹化の終わりだとするとその時期は生殖の為の時間となりますが、不死の生き物としての集団に生殖は必要ではない。彼等には代替わりも必要ではなかったのです。不死を失い代替わりが必要になって初めて彼等は繭を出る必要性に目覚めた。

繭期を終えたヴァンプはその時完全にTRUMPの膝元を離れていくのではないか。
逆に言えば繭期の間は誰もがTRUMPに近しいのだとすればクラウスの書庫での言葉が途端に恐ろしいのです。

「ここにいる皆さんがTRUMPなんです」

その前の言い様からすると、続きだってただの慰めではないような、そんな単純な生き物ではないような気がしてならないのですクラウス…。



繭は中の蛹を外界から隔離して守るかくれがです。
完全変態の途中で一度どろどろの液体にまで崩れる蛹は、振動を与えただけで中身が壊れて死んでしまう。
それはだから蛹期ではなく繭期であるべきなのかなあと思うと同時に、繭とはきっとクランという箱庭でもあるのだと。
蚕は広々とした空間に放り出しておいても繭を作れないんです。小さく仕切った小部屋に入ってその中で繭を作る。
クランはクラウスの心の慰めでもあり、彼が自分の末裔たちのために設えた揺りかごでもあったのかもしれません。

風が吹けばゆりかごは落ちるのに。